4. モントセラト島の例

 

注:以下の配布資料の終わりに、「レポートの長さはA4用紙で1~2枚程度」と書いていますが、本文の長さでA4用紙1~2枚程度という事です。タイトルや名前・学生証番号、図表写真・引用文献のリストを除いた長さです。図や引用文献を入れて体裁を整えるとA4用紙3~5枚になると思います。

第4回+配布資料.pdf
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 この科目に限らず、学生さんのなかには、タイトル・名前・学生証番号だけで表紙をつくり、それを自分で「A4用紙1~2枚程度中の1枚に相当」と自分に都合よく解釈して平気で提出する方がたまに居ますが、それはページ数としてカウントしません。

 同様に、写真をレポート中に沢山コピペして1枚(中には2枚分)のページにしてしまい、本文だけを見ると1ページにも満たなかったというレポートもたまにお目にかかりますが、こういったレポートの評価は(文書による論理展開が見られなかったり、中途半端に終わってしまうので)あまり高くありません。

 一方、図表・写真なし、本文のみで しっかりとした論理展開を1ページ plus にきちんとまとめ、結果的に評価の高い学生さんのレポートも有ります。

 これらを公平に評価するには(レポートが成績評価の4割ですから)、本文のみでA4用紙1~2枚程度という事になります

 もちろん図表・写真を入れた方が見栄えも良いですし、自身の勉強にもなります。特に自作の図(手書き、スケッチを含む)の場合、アイデアを手を動かしながら1枚の紙にまとめるという作業により脳を鍛え、思考力・理解度を向上させ、記憶に定着させる絶大な効果がありますし、達成感もあります。ですから写真の挿入(ネットや携帯カメラなどを使って 誰でも出来る)よりも、自作の図の方が(見栄えの良いグラフィック・ソフトを使用した場合であろうと、手書きであろうと)評価は高いです(。よほど手書きの図が見づらい、解りづらい場合を除いてですが。絵心がない、描くのが苦手な人は簡単な図を定規など使って丁寧に描けば良いですし、手軽なソフトを使えば良いのです。それでもネットからの画像引用よりも評価は高いです。なぜって貴方の描いた図は貴方にしか出来ないからです)。この方針はこの授業、千葉大の他の多くの授業・実験についてだけでなく、他の大学でのレポート課題についても言える事です。例えば以下のサイトをご覧ください。

 

札幌学院大学の例

http://www.sgu.ac.jp/eco/rp/eco_report00.html

 

会津大学の例

http://web-ext.u-aizu.ac.jp/course/csI/goodrpt.html

 

愛媛大学の例

http://www.hpc.cs.ehime-u.ac.jp/ex1/ng_report.html


モントセラト島について:予習・復習のための説明

 

 上記の配布資料(PDF)には入りきらないような情報(動画・カラーの地図など)を以下に載せます。

 

 モントセラト島はカリブ海東縁の島弧、小アンチル諸島を構成する火山島の一つです。

 

 この弧状列島は日本近海のように、プレートの沈み込みによって出来たもので、伊豆・小笠原諸島や沖縄の島々のように(弧状の)海溝に沿った分布をしています。

 

 モントセラト島は粘り気のある(ガスを多く含む)、安山岩質の(SiO2の多い)マグマを持つ火山です。つまり爆発的な噴火を起こしやすいのです。日本で言うと、伊豆諸島(東京都)の新島・式根島・神津島などにマグマの質も(爆発的な)噴火形態も似ています。面積は伊豆大島と同じくらいです(モントセラト島が102平方km、伊豆大島が92平方kmです)。

 

 Google Earth(無料ソフト)を使うと、島の様子が立体的に良く解るだけでなく、実際に島を訪れているかのように感じます。

https://www.google.co.jp/intl/ja/earth/

 以下にGoogle Earthから引用した立体視(3Dビュー)の画像数点を、島の南西側から東側まで、反時計回りに載せます(クリックすると画像が拡大します)。この辺は元々山あり谷ありの地形で、島の人口が集中してて、州都で観光の中心地だったのプリマス(Plymouth)、農業の町 セントパトリックス(St. Patrick’s)があったのですが、2014年に撮影した画像データによるため、これらの町や村・畑や谷が火山灰(殆どが火砕流)によって埋まってしまい、なだらかな斜面になっています。現在では州都は北のブレイズ(Brades)に移転し、町の人口・経済の中心も北へ移っています。

 

↓南西から島を観た様子

 

 また、島の南部にある火山も、もともとはスフリエーヒルズ山という大きな火山だったのですが、1995年以降の度重なる噴火後、数年前に山体崩壊を起こし、今では元々あった標高の3分の1の高さしかありません。

 

↓南から島を観た様子

 

↓南東から島を観た様子


 また、島の東海岸はガーウト(Ghaut)と呼ばれる大峡谷など、巨大な谷地形が発達していたのですが、それも火砕流を中心とした火山灰・軽石などで埋まってしまいました。谷を埋めた火砕流が海に到達し、デルタのような扇型の地形をあちこちに作っているのが見えます。今でも島の約3分の1(南・中央)は立ち入り禁止区域で、被災したプリマスのツアーなど、正式なガイドさんが同行しないと入れません。

 

↓東北東から島を観た様子

 

 授業のビデオ視聴の復習もかねて、以下に関連する動画をYoutubeから持って来ました。

 

 英語ですが、以下のビデオは、女性二人がおしゃべりしながら、モントセラト島の概要を見事な写真で説明しています。(5分30秒)

 

 以下のビデオ(3分16秒)は1995年の(数年にわたる噴火活動が始まった時の)ソフィーレヒルズ山の爆発的な噴火の様子です。

 

 噴煙は最初 噴煙柱を殆ど形成せずに(天高く届く前に崩れ落ちて)、火砕流が多量に発生します。その後 噴煙柱がみられますが、少しの高さまでしか噴煙中は形成されず、火砕流が再発します。つまり、これは「噴煙柱崩壊型」のメカニズムによる火砕流の発生の段階を示しているのです。その後、溶岩ド―ム崩壊など、別のメカニズムによる火砕流やサージの発生が起こります(授業中のDVD上映で観た通りです)。

 

 また、火砕流が海に突入するとどうなるか、ご覧下さい。

 

 以下のビデオ(3分54秒)は谷を流れる小型~中型の火砕流を撮影したものですが、前半は普通に撮影したものを、後半は同じ場所から同じ時間に赤外線カメラで撮影したものを示しています。
一見ただの煙のように見える火砕流ですが、数百度(中には1000度近くのもの)もありますから、流れの方向から横に数百メートル~数キロ離れていても、火砕流からの熱風やサージに巻き込まれて犠牲になる方が後を絶ちません。

 

 以下の図はモントセラト島の噴火の中期(1997-1998)に起こった火砕流(サージを含む)の分布図です。

 

  島の中央に赤っぽいオレンジで示されているのが、1997年6月25日に起こった火砕流なのですが(下図はその拡大図)、Farrel's Yard, Streatham, Farrell's, Dyersといった多くの集落が壊滅しています(図中の四角が赤で塗られているものは壊滅した集落です)。

 この日、先にスフリーエルヒルズ山(火口)から島北東海岸へ伸びる大きな谷 (Ghaut) 沿いに火砕流が発生し(図中の紺色)、その量が甚大だったため、谷から溢れてしまい、谷を見下ろす高台にある多くの集落も壊滅しましたが、これらの地域は谷付近という事でハザードマップにも火砕流の危険度が記載してあり、住民は避難していて無事でした。ところが、谷から溢れた火砕流は上下の図の谷沿いの集落(赤っぽいオレンジと紺色の横縞で塗られた部分)を襲っただけでなく、さらにはサージも発生し、赤っぽいオレンジで塗られた部分の集落(Farrel's Yard, Streatham, Farrell's Dyers)も襲ったのです(火砕流もこの地域の大半に後で到達しました)。これらの集落の人々も殆ど避難していたのですが、下図で Windy Hillという山の山頂近くにある集落Farrell'sでは、谷から遠いだけでなく高台にあるため、火砕流も来ないだろうと安心していたのか避難が遅れ、19名もの方がサージの犠牲となったのです。そう、サージは高い山も登ってくる事が出来るのです。

 また、谷から溢れた火砕流・サージから(南西に)少し離れた集落 Dyers も 壊滅しています。ハザード・マップ上でDyers (Dyer'sとも表記)がサージの範囲から外れているのに壊滅した理由ですが、谷の外側(上記のFarrel's Yardなどの集落を含む地域)に火砕流やサージが何度も押し寄せ、高温の火山灰が多量に厚く堆積し、それがまた別の谷沿い(Dyersの北端を通る)に二次的な火砕流として流れ出し、被害が拡大したのです。英語ですが、以下のサイトにまとめてあります(写真や図を眺めるだけでも、状況が理解できると思います)。

http://www.montserratvolcano.org/secondary%20pf.htm

 しかし、一番の責任はハザードマップにおいて、谷から火砕流があふれる事や、サージが発生する事を(さらには二次的な火砕流までもが発生する事を)全く想定していなかった事です。世界のトップの火山学者たちを含むチームが作成したハザードマップでも外れる事が十分あるのです。1人であろうと人の命は大き過ぎる代償です。3.11の津波の時も、最近の伊豆大島や広島の土石流災害の時もそうでしたが、「ハザードマップがあるから安心」なんて思ってはいけません。ハザードマップは参考程度であり、常に「想定外」・「不測の事態」(=学者・行政など、ハザードマップを作った人たちの ふし穴)を考えなくてはならないのです。ハザードマップはいろんな情報を1枚の紙に(素人でも解るように)極端に単純明解にしてまとめた物ですので、詳細や可能性が比較的低いと思われている事態を欠いてしまうのですが、モントセラート島の この 広範囲の火砕流・サージが予測されていなかった事への言い訳にはなりません。

 

 小規模のラハール(先週学んだ、火山性の土石流・洪水)の様子の映像がこちら(2分25秒)。実際にはもっと大規模な物も何度も発生しています。

 

 以下のビデオは、破壊され、ラハールに埋もれた島の中心町、プリマス(Plymouth)の様子です。

(9分12秒)

 

 以下の最後のビデオ(3分48秒)ですが、モントセラト島噴火が始まったときの緊迫感を、映画 Star Wars Episode I のサウンドトラックを使って(低予算で)編集していますね。

 

 一見ふざけたようなビデオですが、噴火後の火山の監視体制は的を得てますし、最後の字幕メッセージ

 

「これから一体どうなるんだ?」

 

「それは あなたが 決めること!」

 

というのは、実にその通りだと思います。

 

 火山災害に限らず、地震だろうと津波だろうと、被害が大きくなるかどうかは、政府や自治体、会社などに何かをしてもらうか、でなはく、個人が一人ひとり状況に応じて考え判断して、行動を起こしたかどうか、が大きな鍵となります。東京大学生産研究所の目黒教授がこの事についてメディアで呼びかけていることですが、大震災など世界中の自然災害で生き残った人たちの多くは、適切な場所への即座の避難など、自分で考えて直ぐに行動した人たちです。


レポートの書き方についての一般論


 どの科目にも共通する事ですので、以下のサイトにまとめました。

 

  レポートの書き方入門

 

 早いうちにレポートの正しい書き方を身に付けておくと、成績(習得単位数だけでなく、GPA)が上がるだけでなく、卒業論文や就活・大学院入試などでの小論文(エッセー)の書き方も上手くなります。また、TOEFLのライティング・テスト(エッセー)も基本的には同じ形式で書かなくてはなりません。


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